サプライチェーンとは? 
意味や具体例を交えて徹底解説

サプライチェーンの基本的な概念や歴史、
現状や問題点、そしてグローバル化の課題などを解説!

サプライチェーンは、製品を作って顧客に提供するまでの一連の流れにおいて、原材料の調達、製品の生産、製品の輸送、在庫管理、販売など、多数のプロセスが関与する複雑なプロセスです。このようなプロセスにおいて、各プロセスがスムーズに進まないと、余剰在庫や欠品、生産遅延、高コストなどの問題が発生する可能性があります。それにより、顧客サービスの低下、製品の品質低下、企業の信頼性の損失、コスト増加、利益の減少などの影響を受けることになります。

当記事では、ビジネスにおいて極めて重要とされる「サプライチェーン」について、その基本的な概念や歴史、現状や問題点、グローバル化の課題などを解説し、さらに製造業におけるサプライチェーンの特徴にも触れます。また、当社が取り組むサプライチェーンマネジメントについてもご紹介します。

サプライチェーンとは・・・

モノ(製品)は一般的に、調達、生産、販売というプロセス(工程)を経て、市場に供給されます。例えば、ビールであれば、メーカーが麦芽やホップといった原材料やアルミ缶やガラス瓶などの資材を取引先から調達し、工場で生産した後、卸に販売。さらに卸が酒飲店(飲食店など)や、スーパー・コンビニといった小売りに販売し、消費者が店頭で購入します。

この一連の流れを「サプライチェーン」と言います。供給を意味する「supply」に鎖を意味する「chain」が加わっているのは、調達、生産、販売の各プロセスが相互に関連性を持ってつながっているという考え方に基づいています。「サプライチェーン」は日本語で「供給連鎖」と表現されることもあります。

サプライチェーン

サプライチェーンマネジメントとは・・・

従来、多くのメーカーは、販売機能を担う卸や小売りが「来月はこのくらい仕入れて(発注して)くれるだろう」という予測を立てて工場での生産量を算出していました。メーカーはこの生産計画に基づいて、生産に必要な原材料や資材を調達(発注)するわけですが、原材料や資材を供給する側(サプライヤー)は、メーカーが「来月はこのくらい仕入れてくれるだろう」という予測数値を基に用意する量を決めていました。小売りは店頭で「来月はこのくらい売れるだろう」という見込みで卸に発注し、卸も小売りが「来月はこのくらい発注してくれるだろう」という見込みで、メーカーに発注していました。

このように調達、生産、販売がそれぞれ見込みで発注すると、需要予測が外れた場合には、原材料や資材、そして製品に無駄な在庫が発生してしまいます。過剰在庫を抱えれば、それを管理(保管)するためのコストが必要になります。また、製品の過剰在庫を解消する目的で割引販売を実施すれば、当然、利益は減ります。

これに対して、原材料や資材を供給するサプライヤーが、納入先であるメーカーの正確な生産計画(生産量)を知ることができれば、余計な在庫を抱えずに済みます。一方、卸の正確な発注計画を入手できれば、メーカーは過剰な生産を回避できます。卸は小売りの販売計画(発注予定)を把握できれば、過不足のない仕入れが可能になります。

サプライチェーンマネジメント(SCM)は、上記のように、調達、生産、販売がそれぞれの供給先と連携することで、サプライチェーン全体を効率化していこうという取り組みです。調達、生産、販売の各プロセスにおける部分最適には限界があるため、サプライチェーン全体でモノの流れの最適化を目指します。

サプライチェーンマネジメントで実現できること

サプライチェーンマネジメントを展開することで、次のような成果が期待できます。

在庫削減

原材料、資材、製品、店頭商品など無駄な在庫を削減する 見込みでの発注ではなく、納品先などから提供される実需に近い数量で発注が行われるようになるため、無駄な調達や生産、欠品防止のための製品の囲い込み(販売サイドで)などがなくなり、サプライチェーン上に滞留する在庫を減らすことができます。

供給リードタイムの短縮

モノが市場に投入されるまでの時間を短くする 市場での販売実績など生のデータを基に、仕入れ、生産、調達などをスピーディーに展開できるため、調達〜生産〜販売までのリードタイムを短縮できます。市場での需要に対して、タイムリーに製品を供給できるため、販売機会ロスを防ぐことが可能になります。

コスト削減

業務の重複を解消してコストを減らす 調達、生産、販売の各機能を担うプレーヤー(企業)が連携し、それぞれが需要予測を立てるなどの重複している業務を解消できます。例えば、納品先の仕入れ計画などを基に、納品する側が自動的に在庫補充するといった仕組みを構築すれば、発注レスを実現できるため、業務の大幅な簡素化につながります。

サプライチェーンの成否のカギとは・・・

サプライチェーンがうまく機能するかどうかのカギの1つは情報共有と言えるでしょう。調達、生産、販売を担う企業が異なる場合、従来は取引上の力関係から、発注や生産、仕入れの計画情報や販売実績データなどを、取引先に開示・提供してもらうことはほぼ不可能でした。

これに対して、サプライチェーンマネジメントでは、この垣根を取っ払い、互いに情報を共有し合うことで、モノの過不足をなくしてサプライチェーンの全体最適を実現します。実際、サプライチェーンの運用で成功しているのは、「イコール・パートナー」という発想で、複数の取引先との間で密な情報連携を展開している企業群となっています。

サプライチェーンの成否のカギ

サプライチェーンの歴史

サプライチェーンの概念は、20世紀初頭に発展しました。それまでは、製造業者は、原材料から製品を生産し、販売するまでの一連のプロセスを自社で行っていました。しかし、1930年代には、製造業者がスペシャリストによるサービスを利用して、製品を生産するようになりました。これがサプライチェーンの誕生であり、それ以来、サプライチェーンは業界全体で採用されるようになりました。

1960年代には、大手製造業者は、製品の開発から配送までの一連のプロセスを管理するために、サプライチェーン管理システムを導入し始めました。これにより、製造業者は、市場ニーズに応えるために、より迅速かつ効率的に製品を生産することができるようになりました。

1970年代には、サプライチェーン管理は、製造業のみならず、小売業やサービス業などにも普及し、サプライチェーン管理は業界全体において重要な役割を担うようになりました。

1980年代には、コンピューター技術の進歩により、サプライチェーン管理システムはより複雑かつ高度になり、ビジネスプロセスを自動化することができるようになりました。これにより、サプライチェーン管理はより効率的かつ迅速になり、製造業者は市場の変化に対応するためにより良い決定をすることができるようになりました。

企業の経営管理手法の1つとしてサプライチェーンマネジメントが普及し始めたのは80年代後半とされています。欧米の先進企業、とりわけ生産から販売に至るまでの機能を全て自社や自社グループで賄う「製造小売り」と呼ばれる企業を中心にその取り組みが広がっていきました。製造小売りには、調達、生産、販売の各プロセスの情報(データ)共有を自社内で完結できるため、サプライチェーンを管理しやすいといった利点があります。具体的にはアパレルやパソコンなどの製品を対象にしたサプライチェーンマネジメントが展開されました。日本では90年代半ば以降に取り組みが本格化しました。

日本のサプライチェーンの特徴

日本のサプライチェーンは、高度な計画性、品質管理、効率性、そしてグローバルな展開で知られています。日本には製造業とサプライチェーン・マネジメントの長い歴史があり、これらの特性を優先させた高度なシステムとプロセスが開発されてきました。

日本のサプライチェーンの大きな特徴のひとつは、計画を重視することです。日本の製造業は、市場の需要に迅速かつ効率的に対応するために、製品開発から配送までのサプライチェーンプロセスのあらゆる側面を計画的に進めています。このような計画性が、グローバル市場での競争力を維持するのに役立っているのです。

品質管理もまた、日本のサプライチェーンの重要な特徴の一つです。メーカーは、生産する製品が高い基準を満たすよう細心の注意を払い、さまざまな品質管理システムを用いてこれを実現しています。その結果、顧客満足度が向上し、顧客の要求に応えることができるのです。

また、日本のサプライチェーンは効率的であることも大きな特徴です。日本の製造業は生産と配送のプロセスを改善するために技術や自動化を採用し、それが世界市場での効果的な競争につながっています。

また、日本のサプライチェーンはグローバルに展開しています。日本は何十年にもわたって輸出国であり、多くのメーカーが世界中に広がるサプライチェーンを構築しています。これにより、新しい市場や顧客にアクセスし、さまざまな地域から原材料や部品を調達することができるのです。

最後に、日本の製造業は自動車、電子機器、食品など多様化しています。この多様性により、日本のサプライヤーは異なる市場や顧客の需要に適応することができます。

全体として、日本のサプライチェーンは、高品質の製品を効率的に計画、生産、提供する能力で知られています。このことが、グローバル市場での競争力を維持し、世界的に強いリーチを持つことにつながっています。

サプライチェーンの現状と問題点

サプライチェーンの現状は、不確実性とボラティリティ(価格変動度合い)が高まっています。COVID-19の大流行は、世界中のサプライチェーンに大きな影響を与え、世界貿易を混乱させ、商品の配送に遅延や不足を生じさせています。これは、ロックダウンによるサプライチェーンの混乱、消費者需要の変化、輸送や物流の困難など、数多くの要因に起因しています。

また、現在サプライチェーンが直面している問題として、保護主義や貿易障壁の傾向が強まっていることが挙げられます。世界各国の政府が輸出入を制限する政策をとっているため、企業は製品の生産に必要な原材料や部品の入手が難しくなっています。

また、現在の世界的な経済状況は、企業が財政難に直面し、コスト削減策を講じなければならないため、在庫の削減や新規投資の抑制につながり、サプライチェーンに影響を及ぼしています。

さらに、気候変動や環境への配慮もサプライチェーンに影響を及ぼしています。企業は、二酸化炭素排出量を削減し、持続可能な資源から原材料を調達するよう迫られています。これは、特に複数の国や地域にまたがるグローバルなサプライチェーンに依存している企業にとって、困難なことです。

最後に、企業に対して社会的・倫理的な基準を向上させるよう求める声が高まっています。これには、労働者の権利、人権、公正な労働慣行などの問題が含まれますが、これらはグローバルなサプライチェーン全体で確保することが困難な場合があります。

まとめると、サプライチェーンの現状は、COVID-19の流行、貿易障壁、経済状況、環境問題、社会・倫理問題などにより、不確実性と変動性が高まっているということです。

サプライチェーンのグローバル化について

サプライチェーンのグローバル化とは、原材料、部品、完成品の調達を通じて、企業、国、地域の相互接続が進むことを指します。この相互接続により、企業は新しい市場や顧客にアクセスできるようになり、また、異なる地域から原材料や部品をより低コストで調達することができるようになります。

サプライチェーンのグローバル化を推進する要因のひとつに、貿易障壁や関税の削減があり、これによって企業は新規市場への参入や異なる国からの原材料の調達が容易になりました。さらに、輸送・物流技術の進歩も、グローバルサプライチェーンをより効率的でコスト効率の高いものにする役割を担っています。

しかし、サプライチェーンのグローバル化には欠点もあります。サプライチェーンがより複雑になることによって、自然災害や政情不安、景気後退などの混乱に対して脆弱になる可能性があります。さらに、企業が基準の低い国からの調達を選択する可能性があるため、労働搾取や環境悪化など、社会と環境に悪影響を及ぼす可能性もあります。

全体として、サプライチェーンのグローバル化は、企業にとってチャンスと課題の両方を生み出しています。効率性の向上、コスト削減、新規市場への参入を可能にした一方で、より複雑で不確実な環境を生き抜き、自らの活動が社会や環境に与える影響をより強く認識することが求められているのです。

サプライチェーンのグローバル化

製造業(メーカー)のサプライチェーン

製造業におけるサプライチェーンとは、原材料や部品を調達し、製品に加工し、お客様にお届けするまでのプロセスを指します。製造工程を構成する重要な要素であり、調達、生産計画、物流、流通など、幅広い活動を含んでいます。

製造業のサプライチェーンには、以下のような特徴があります。

高い流動性

製造業におけるサプライチェーンは、製品のライフサイクルや需要の変化に応じて、迅速に変更する必要があります。特に、ハイテク製品の場合は、市場動向や技術革新に敏感に対応する必要があります。

複雑な供給ネットワーク

製造業におけるサプライチェーンは、製品の部品や原材料の調達先が複数あり、それらがサプライチェーン全体で繋がっています。そのため、調達、生産、物流の各プロセスを適切に調整する必要があります。

在庫管理の重要性

製造業におけるサプライチェーンでは、生産段階や物流段階での在庫が多様に存在します。それらの在庫を適切に管理することで、サプライチェーンの効率化や生産性の向上が図られます。

資本集約的

製造業におけるサプライチェーンは、生産設備や機械装置などの資本的な投資が必要です。また、生産量の変動や需要の変化に対応するために、適切な生産ラインの調整や投資が必要になります。

需要予測の難しさ

製造業において、需要予測が難しいことがあります。需要の変動が大きい場合や新製品の開発がある場合などは、需要予測の精度を高めることが困難です。

以上のような特徴があるため、製造業におけるサプライチェーンマネジメントは、高度なプランニング・アンド・コントロール能力を必要とします。製造業企業は、サプライチェーン全体を見渡し、適切な戦略的判断を行うことが求められています。

全体として、サプライチェーンは製造業の重要な側面であり、効率的でコスト効率の高い生産と顧客への商品配送を保証する上で重要な役割を担っています。

SBSリコーロジスティクスのサプライチェーンマネジメント

SBSリコーロジスティクスのサプライチェーン管理サービスは、調達、生産、販売に至るすべての領域を一気通貫でカバーできる各種ソリューションを提供できる点が最大の特徴です。

例えば、調達ではお客様に代わって各サプライヤーへの発注を行ったり、調達した原材料や資材をVMI倉庫などで在庫管理したり、必要なタイミングで必要な量の原材料や資材を倉庫から生産ラインに供給したりする機能を果たしています。一方、生産領域では、組み立て生産の済んだ製品の工場倉庫や外部倉庫での一時保管、販売拠点への輸配送などに対応します。販売領域では、エンドユーザーへの配送、什器・機器類の据付・設置、使用済み製品の回収・リサイクル処理といった業務を代行します。

サプライチェーンマネジメント

精密機器メーカーの物流子会社として培ってきたサプライチェーン管理のノウハウを、現在では様々な業種業態のお客様にご活用いただいております。もちろん、国内のみならず、海外拠点までをカバーすることが求められるグローバルサプライチェーンへの対応力にも自信があり、実績も豊富です。

SBSリコーロジスティクスのロジスティクスサービス

サプライチェーン Q&A

サプライチェーンとはどういう意味でしょうか?
サプライチェーンとは、原材料などの調達から生産、販売というプロセスを経て市場に供給され、消費者に購入されるまでの一連の流れを指す用語です。供給を意味する「supply」に鎖を意味する「chain」が加わっているのは、調達、生産、販売の各プロセスが相互に関連性を持ってつながっているという考え方に基づいています。「サプライチェーン」は日本語で「供給連鎖」と表現されることもあります。
サプライチェーンのわかりやすい例はどういったものでしょうか?
例えば“ビール”であれば、メーカーが麦芽やホップといった原材料やアルミ缶やガラス瓶などの資材を取引先から「調達」し、工場で「生産」した後、卸に「販売」。さらに卸が酒飲店(飲食店など)や、スーパー・コンビニといった小売りに「販売」し、消費者が店頭で「購入」します。この一連の流れを「サプライチェーン」と言います。
なぜサプライチェーンは重要なのでしょうか?
調達、生産、販売を担う企業が異なる場合、従来は取引上の力関係から、発注や生産、仕入れの計画情報や販売実績データなどを、取引先に開示・提供してもらうことはほぼ不可能でした。
しかし、これらのプロセスは密接に関わっており、調達、生産、販売の各プロセスのみで部分的に最適化を行おうとしても限界があります。それぞれの供給先が互いに情報を共有し合うことで、モノの過不足をなくした全体最適化の実現を可能とするからです。
サプライチェーンの効果は何ですか?
サプライチェーンマネジメントで実現できる主な成果は「1:在庫削減」原材料、資材、製品、店頭商品など無駄な在庫を削減すること、「2:供給リードタイムの短縮」モノが市場に投入されるまでの時間を短くすること、「3:コスト削減」業務の重複を解消してコストを減らすなどがあります。
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