チャーター便とは? 
仕組み・料金・メリットをわかりやすく解説

チャーター便とは、トラック1台を貸切り、荷物を積み替えずに希望の時間・ルートで直行配送できるサービスです。混載便と比べて納期や品質管理に優れ、急ぎ・大型・壊れやすい荷物の輸送に最適です。本記事では、チャーター便の意味・仕組み・料金・メリット・活用事例を、SBSリコーロジスティクスの専門知見をもとに分かりやすく解説します。

チャーター便とは?仕組み・料金・メリットをわかりやすく解説

チャーター便とは?|意味と基本、混載便との違いをやさしく整理

チャーター便の基本的な意味

「閉店後に急ぎで店舗へ補充したい」「展示会の朝イチまでに機材を確実に届けたい」──そんなとき、どの配送を選べば安心でしょうか。チャーター便とは、トラック1台を荷主が貸し切り、積み替えなしで希望の時間帯とルートで直行する配送サービスです。荷物の特性や納品条件に合わせて柔軟に対応できるため、温度管理が必要な製品や機密性の高い荷物などにも適しており、遅延リスクを最小限に抑えられます。

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たとえば、冷蔵が必要なお弁当や、扱いに注意が必要なデザイナーの什器を運ぶ場合、途中で倉庫に寄ったり積み替えをしたりすると、温度が上がったり傷がつく心配があります。チャーター便ならドライバーが荷積みから納品まで一気通貫で運ぶため、荷扱い回数が減り、品質と時間が守られやすくなります。これが重要なのは、販売機会の損失やクレーム対応のコストを未然に防ぎ、結果としてビジネス全体の信頼を高められるからです。

一般の配送(混載便)との違い

一般の配送(混載便)は、複数の荷主の荷物を一台にまとめ、各地の拠点で積み替えながら配ります。荷物1個あたりの運賃は抑えやすい一方で、時間指定の幅は比較的広く、トラックが満載に近づくまで出発しないこともあるため、到着までに中継が入るのが普通です。対してチャーター便は、1台を専用で手配し、希望の時間に集荷してそのまま目的地へ直行します。

現場では、例えば「夕方18時に引き取り、翌朝7時に工場の指定場所に着ける」といった細かな指示に柔軟に対応できるのがチャーター便の強みです。混載便より運賃は上がりやすいものの、積み替えがない分だけ破損や誤配のリスクが下がり、納期も読みやすくなります。なぜ重要かというと、製造ラインの部品欠品や店舗の品切れは一日の売上を左右し、遅延や破損のコストは運賃差を簡単に上回ることがあるからです。結果として「確実さ」や「時間の価値」を重視する場面では、チャーター便の方が総合的な費用対効果が高くなるケースが多いのです。

「チャーター」という言葉の由来と英語の意味

「チャーター」は英語のcharter(チャーター)に由来し、「貸し切る」「専用利用する」という意味です。航空のチャーター機や、観光の貸切バスでも同じ言葉が使われ、物流でも「車両を専用化する」考え方を指します。海外でもto charter a truck(トラックをチャーターする)という表現があり、特定の荷主がスケジュールやルートを指定して手配するニュアンスを含みます。

この背景を知っておくと、「なぜ時間やルートの自由度が高いのか」「なぜ荷扱いが少なく品質が守りやすいのか」が腹落ちします。つまり、言葉そのものがサービスの核である「専用利用」と「自由度」を表しているのです。用語の意味を押さえることで、見積もりや手配の相談時に希望条件を的確に伝えやすくなり、無駄なコストやすれ違いを減らせます。

まとめると、チャーター便は「時間」「品質」「柔軟性」を優先したいときに選ぶ、貸切型の直行配送です。次は、実際にどんなシーンで効果を発揮し、料金の考え方をどう押さえると判断しやすいのかを、具体例とともに見ていきましょう。

チャーター便の仕組み|「1台まるごと」手配の流れと対象荷物

「急ぎで一括納品したい」「他の荷物と混ざるのは不安」——そんなときに頼りになるのがチャーター便です。普段は混載便(他社の荷物と同じトラックで運ぶ方法)を使っていても、いざという場面では「1台まるごと」借り切る選択が安心とスピードの両方を叶えます。

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トラックを「1台まるごと」借り切る仕組み

チャーター便は、1台のトラックを出発から到着まで自社の荷物だけで占有する仕組みです。ルートや時間は依頼内容に合わせて柔軟に組めるため、積み替えがなく直行でき、リードタイム(到着までの時間)を短縮できます。料金は距離・時間・車種(軽貨物、2トン、4トン、大型など)や付帯作業(養生=荷物保護、吊り上げ、複数人作業)の有無で決まります。混載と比べると1回あたりの費用は上がりやすいですが、破損リスクの低減や納期厳守がしやすい点が大きな違いです。なぜ重要かというと、イベントや新店オープンのように「遅延=機会損失」になる場面で、時間と品質を確実にコントロールできる手段だからです。

どんな荷物が対象になるのか

対象は「大きい・重い・壊れやすい・急ぐ」のいずれかに当てはまる荷物が中心です。具体例としては、店舗什器や大型家電、撮影機材・精密機器、展示会ブース資材、冷蔵・冷凍食品(保冷車使用)、大量口のEC在庫の一括移動などがあります。サイズや重量には車種ごとの上限があるため、梱包後の寸法と総重量を事前に伝えることが大切です。また、危険物など法令上の制限品は専門の許可車両が必要になる場合があります。これらを見極める理由は、適切な車両選定が破損や遅延の予防につながり、結果として無駄な追加費用(再配達、待機料)の発生を避けられるからです。

利用の流れ(依頼から配送完了まで)

チャーター便利用の基本の流れは、問い合わせ→見積もり→車両手配→集荷→配送→納品→完了報告となります。問い合わせ時には、荷物の内容・数量・サイズと重量、積み地と納品先の住所、希望日時、必要な付帯作業(人員増、階段作業、フォークリフトの有無)を伝えます。現場条件(車両が入れる道路幅、駐車スペース、エレベーターの大きさ)を共有すると、当日の「入れない」「降ろせない」を避けられます。見積もりでは待機料(基準時間を超えた待ち時間の費用)やキャンセル規定、保険の範囲も確認すると安心です。こうした段取りを事前に整えることが重要なのは、当日の判断を減らし、ドライバーと現場担当者が同じ前提で動けるため、ミスと時間ロスをぐっと減らせるからです。

全体として、チャーター便は「時間」「品質」「量」を一度にコントロールできる運び方で、混載では難しい要件を確実に満たせます。次は、目的に合わせてどの車種やオプションを選ぶと無駄なく効果を出せるのか、具体的な選び方を見ていきましょう。

チャーター便を利用するメリット|納期自由・低破損・特別輸送に強い

納期・ルートの自由度が高い

「この時間に必ず届けたい」「途中で別の拠点にも寄りたい」——そんな現場の声に、一台まるごと貸し切るチャーター便はまっすぐ応えてくれます。チャーター便は積む時間・走る順番・降ろす場所を細かく指定できます。たとえば、朝に工場で積んで夕方のイベント会場に搬入、途中で店舗に立ち寄って販促物を降ろす、という動きも可能です。繁忙期のECセールで当日中にまとめて配送したいときや、工場ラインを止めないための緊急調達でも、柔軟に段取りできます。

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この自由度が重要なのは、売上や信頼に直結するからです。納期に間に合わなければ販売機会を逃し、逆に早すぎても受け入れができず待機費用が発生します。チャーター便なら先方の受け入れ時間に合わせて到着をコントロールでき、在庫の持ち過ぎや欠品も防ぎやすくなります。さらに、ドライバーと事前にルートや予備時間を調整できるため、渋滞や天候の影響に対してもリスクを抑えやすい点が、現場の安心につながります。

積み替えがなく、荷物の破損リスクが低い

「どうして割れてしまったのだろう?」——破損や紛失の多くは、積み替えの場面で起こります。路線便(ターミナルで荷物を仕分けて各地に送る方式)では複数回の積み替えが発生しますが、チャーター便は基本的に積み地から納品先まで同じ車両とドライバーが運び切ります。つまりフォークリフトでの上げ下ろしや、複数の荷物との混載が少なく、箱つぶれや擦り傷、誤配のリスクを下げられます。精密機器やガラス製品、キズを絶対に避けたい什器などに向いています。

これがなぜ重要かというと、破損・紛失は目に見える損害(返品・再製作・再配送の費用)だけでなく、見えにくい損害(納期遅延による信用低下、社内対応の手間)を生みやすいからです。チャーター便は同じ車両が最後まで担当することで荷扱いの一貫性が保たれ、現場での注意点もドライバーに伝わりやすくなります。結果として「届いたらすぐ使える」状態で納めることができ、受け取り側の作業効率も上がります。

企業イメージ向上や特別輸送にも対応できる

展示会の指定時刻搬入、商業施設の夜間搬入、撮影現場への早朝直納——時間や場所の制約が厳しい案件ほど、チャーター便の強みが光ります。時間厳守はもちろん、現場ルールに合わせた搬入手順の順守や、ドライバーによる簡易設置・検品のサポートなど、きめ細かな対応がしやすいからです。また、貸切のためセキュリティ面でも安心で、封印シールや鍵付きボックスの使用、機密書類や試作品の輸送にも向いています。温度管理が必要な製品は、冷蔵・冷凍車のチャーターで品質を保ったまま納めることができます。

こうした対応力は、顧客体験を底上げし、企業の信頼を高めます。B to Bの取引では「頼んだ通りに確実に届く」ことが次の受注につながり、口コミや紹介にも影響します。さらに、ブランド品や高付加価値商品の配送で破損や遅延を避けられれば、クレーム対応のコストが下がり、現場は本来の業務に集中できます。結果として、配送そのものが競争力になり、営業やマーケティングの後押しにもなります。

まとめると、チャーター便は「自由な納期・ルート」「低い破損リスク」「付加価値のある対応力」で、ビジネスの機会損失を防ぎ、顧客の満足度を高めます。状況に合わせて上手に取り入れることで、物流はもっとあなたの味方になります。次は、どんな場面で特に効果を発揮するのか、実際の活用のヒントを具体的に見ていきましょう。

チャーター便のデメリット・注意点|コストや手配難のリスクを理解

「急ぎの荷物を今日中に届けたい」と考えたとき、真っ先に浮かぶのがチャーター便ではないでしょうか。ただしチャーター便はトラックや車両をまるごと貸し切るぶん安心感は高い一方で、見落としやすい負担や注意点もあります。ここでは、現場でよく起きるケースを交えながら、知っておくべきリスクをやさしく整理します。

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コストが高くなりやすい

チャーター便は車両を1台丸ごと確保するため、同じ距離でも混載便(他社の荷物と相乗りで運ぶ便)より料金が高くなりやすいです。夜間や深夜、時間指定が重なるとさらに上がります。高速代や待機料(荷積み・荷降ろしの待ち時間にかかる費用)が別途請求される点も見逃せません。

なぜここが重要かというと、コスト構造が見えにくいまま発注すると、見積時よりも支払いが膨らみ、利益を圧迫してしまうからです。特にECの返品回収や店舗間移動など、単価の安い商品の移送では、運賃が原価全体に占める割合が一気に高まります。そのため、距離だけでなく、繁忙時間帯や積み降ろし条件まで含めて事前に精査することが、余計なコストを避ける近道になります。

帰り便の手配でコストが変わる

同じ区間でも、復路(帰り便)の有無で見積が変わることがあります。帰り便が確保できると、運送会社は空車で戻る必要がなくなるため、運賃を抑えられる可能性が高いです。例えば、地方から都市部へ運ぶ際、都市部で次の積み荷が決まっている事業者に依頼できれば、数千円〜1万円以上運賃が下がることも珍しくありません。

これが重要なのは、計画の立て方次第で「同じ品質の配送を、より低いコストで実現できる」からです。出発地と到着地の組み合わせ、曜日や時間帯をずらすだけで帰り便が見つかることがあり、結果的に予算のやりくりが楽になります。発注者が事前に納品時間の幅を持たせたり、到着地周辺の集荷とセットで相談したりすると、運送会社は便の組み立てがしやすくなります。

緊急時・繁忙期は手配が難しいことも

年末年始、月末・月初、セール時期や大型イベントの前後は、チャーター便の需要が急増し、直前の手配が難しくなります。特に、朝イチ必着や夜間集荷などの条件が重なると、空き車両が見つからないか、見つかっても高額提示になりがちです。天候不良や道路規制が重なると、予定していた車両が遅れてしまい、当日差し替えも難航します。

ここが重要なのは、売上や顧客満足に直結する「納期」に影響が出るためです。製造ラインの部品が遅れれば生産が止まり、店舗の新商品が遅れれば販売機会を逃します。だからこそ、繁忙カレンダーを社内で共有し、最低でも数日前から当日のオプション(車種の代替や積み方の調整)まで想定しておくことが、リスク回避につながります。緊急枠の料金水準を社内で合意しておくと、当日の意思決定もスムーズです。

全体として、チャーター便はスピードと確実性が魅力ですが、料金の上振れや手配難、時期による変動といったリスクを理解しておくことが欠かせません。自社の配送パターンを見直し、無理のない範囲で時間の余裕や組み合わせの工夫を取り入れることで、賢く使いこなせます。次は、こうした注意点を踏まえてどのようにコストと納期を両立させるか、具体的な工夫に目を向けていきましょう。

チャーター便の料金の仕組み|距離・時間・車種と追加費用の見方

「急ぎの荷物を確実に届けたいけれど、いくらかかるのか見当がつかない…」と感じたことはありませんか。チャーター便は便利ですが、料金の決まり方を知っておくと見積もりの見方がぐっとわかりやすくなります。

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距離・時間・車種で決まる料金体系

チャーター便の基本料金は「走行距離」「拘束時間(ドライバーが確保されている時間)」「車種」の3つで構成されます。たとえば同じ100kmでも、渋滞時間帯をまたいで4時間かかるのか、深夜で2時間で着くのかで、拘束時間が変わり料金に影響します。車種は軽貨物、1t(バン・ハイエース級)、2tトラックなど積める量とサイズで選び、車体が大きいほど人件費や燃料費が上がるため単価が高くなります。これは、実際にかかるリソース(車両とドライバーの時間)に応じて公平に配分する考え方で、無駄を減らすためにも重要です。

また、都市部と地方では同じ距離でも想定時間が異なるため、同一距離でもエリアで料金差が出ることがあります。夜間・早朝や土日祝は、ドライバー確保の難しさから割増になる場合があります。こうした条件を事前に把握しておくことで、希望の到着時刻とコストのバランスを取りやすくなり、必要以上のグレードや時間帯を選ばずに済みます。

高速代・待機料などの追加費用

見積書には基本料金のほかに「実費」と呼ばれる項目が加わります。代表的なのは高速料金、駐車場代、フェリー代などの通行・輸送費で、ルート次第で上下します。さらに、荷主側の都合で積み込み・荷下ろしが予定より遅れた場合は「待機料(待ち時間の費用)」が発生し、階段での手運びや2人作業が必要な現場では「作業料」や「助手費」がつくことがあります。これらは現場で本当にかかるコストであり、事前共有がないと追加請求に驚く原因になるため、最初の打ち合わせで条件を具体的に確認することが大切です。

たとえば「納品先に搬入受付があり、11時〜13時は不可」「フォークリフトなしで手降ろし」などの情報は費用を左右します。運送会社に細かく伝えるほど無駄な待機や回り道を避けられ、結果として総額を抑えやすくなります。なぜ重要かというと、追加費用は積み上げ型で後から増えやすく、事前の情報精度が高いほど予算ブレを小さくできるからです。

料金を抑えるためのポイント

コストを下げる第一歩は、荷物量に合った車種選びです。パレット1枚分なら2tではなく1tや軽貨物で足りる可能性があり、サイズ・重量・梱包寸法を正しく伝えることで過剰な車両手配を避けられます。次に、積み込みと荷下ろしの時間帯を調整し、渋滞ピークや待機が発生しやすい時間を外すと拘束時間が短くなります。高速道路の利用方針(使う区間・使わない区間)を事前に相談して、時間優先か費用優先かを決めるのも効果的です。

さらに、複数件の配送がある場合は、集約して1回で運ぶルートを組むと総コストを下げられることがあります。現場では台車や人員を事前に用意して荷役(荷物の積み下ろし)をスムーズにすると、待機料の発生を防げます。これらは小さな工夫に見えますが、拘束時間や追加費の発生を直接減らすため、最終的な見積額にしっかり効いてきます。

まとめると、チャーター便の料金は距離・時間・車種という土台に、現場条件による追加費用が積み上がる仕組みです。事前情報を丁寧に共有して、必要十分な条件に整えることが、ムダのない見積もりへの近道です。次は、実際に見積書のどこをチェックすると失敗しにくいかを、具体的な視点で見ていきましょう。

チャーター便が活躍する主なケース|緊急・大型・イベント輸送の実例

「今すぐ届けないと困る」「通常便では間に合わない」——そんな場面で、1台をまるごと貸し切るチャーター便が頼りになります。ふだんは路線便や宅配で十分でも、いざという時は“時間と条件を自分で決められる”ことが大きな武器になります。ここでは、現場でよくある3つのケースを具体的に見ていきます。

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緊急配送(工場ライン停止・イベント搬入など)

工場で部品が欠品し、ラインが止まりそうな時、チャーター便は部品を倉庫から直行で運び、最短ルートで現場に届けます。実際、製造業ではラインが1時間止まるだけで数十万〜数百万円の損失が発生することがあります。経由や仕分けがないため、積み込み後はノンストップで走れるのが強みです。

イベント会場でも同じです。音響機材やステージ部材の搬入が遅れると、リハーサルが短くなり、イベント全体に影響します。チャーター便なら、会場の搬入時間帯に合わせてピンポイントで着車(指定時間に車両をつけること)ができ、ドライバーが現場指示に合わせて臨機応変に動けます。

これが重要なのは、遅延の連鎖を止められるからです。路線便は集荷・中継・仕分けの工程があり、どうしてもリードタイム(届くまでの時間)が伸びやすいです。対してチャーター便は「直行・時間指定・立ち会い対応」がセットになりやすく、ダウンタイム(止まっている時間)を短くできます。

大型・重量物の輸送

業務用冷蔵庫や工作機械、長尺の資材など、サイズや重さがある荷物は、通常の宅配サイズを超えることが多いです。チャーター便なら、ウイング車やゲート車(荷台に昇降機付きの車両)を手配し、フォークリフトやパレットに合わせた積み下ろしができます。これにより、破損リスクを減らしながら安全に運べます。

さらに、荷物の形状に合わせて緩衝材やラッシング(荷崩れ防止の固定)を事前準備できるのも利点です。例えば、重量物を複数点まとめて同一現場に入れる場合、1台に集約して直送することで、荷役(積み下ろし)の回数を減らし、作業ミスを抑えられます。搬入動線が狭い現場でも、車両サイズを選べる柔軟さが役立ちます。

これが重要なのは、破損や人身事故のコストが非常に大きいからです。修理・再製造の費用だけでなく、納期遅延や信用低下にも直結します。荷姿や機材に合わせて車両と段取りを最適化できるチャーター便は、リスクとトータルコストを下げる現実的な解決策になります。

展示会・催事などの限定輸送

展示会やポップアップストアの什器(棚や展示台)、プロモーション用サンプルは、会場の搬入枠が限られ、時間も場所も厳密に決まります。チャーター便なら、会場のバックヤードに合わせた着車と、撤収時間に合わせた回収をセットで組めます。往路・復路を同じドライバーが担当すれば、会場の動線や担当者も把握しているため、作業がスムーズです。

また、展示物は一点物や貸与品が多く、汚れやキズを避けたいケースが目立ちます。貸切であれば混載(他社荷物との積み合わせ)がなく、荷崩れや誤配のリスクを抑えられます。会期中に追加補充が出た場合も、スポット手配で“閉場後に届ける”といった柔軟な運用が可能です。

これが重要なのは、イベントはやり直しがきかないからです。搬入が1時間遅れれば設営が押し、集客や売上に直結します。チャーター便で「時間どおり・その場で対応」を担保することは、機会損失を防ぎ、現場スタッフの負担も減らします。

まとめると、チャーター便は「時間に厳しい」「サイズや条件が難しい」「一度きりで失敗できない」場面で真価を発揮します。通常の配送では埋めにくい“現場の困りごと”を、直行と柔軟な段取りで解決できるのが強みです。次は、どのように手配するとムダなくコストと時間を抑えられるか、具体的な考え方を見ていきましょう。

チャーター便を手配するときのポイント|必要情報整理と業者・見積もり比較

「今日中にこの荷物を確実に届けたい。」そんな場面で、あなたが頼れるのがチャーター便です。混載ではなく1台をまるごと押さえる分、自由度は高いですが、情報があいまいだと料金が大きく変わったり、当日に積めないといったトラブルにつながります。だからこそ、最初の準備と判断が肝心です。

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事前に必要情報を整理する(荷物量・納品先・時間)

あなたはまず、荷物の「量・大きさ・重さ」と「積み地・納品先の条件」「希望時間」を整理します。例えば、パレット何枚か、段ボール何ケースか、最大の辺の長さは何cmか、総重量は何kgかを具体的に書き出します。納品先に「搬入予約が必要」「フォークリフトなし」「高さ制限2.1m」などの条件があるかも確認します。時間は「集荷可能時刻」「納品希望時刻」「待機の可否」をセットで伝えます。これは運送会社が車種(軽貨物/2t/4t/大型)や台数、必要な備品(パワーゲート=荷台の昇降機など)を正しく選び、最適なルートとドライバーを割り当てるために不可欠です。情報が揃っていれば、追加費用の発生や当日積み切れないリスクを減らせます。逆に「だいたい」で手配すると、実車してからの増便や待機料(現地での待ち時間に対する料金)、深夜割増が膨らみ、納期も乱れやすくなります。

信頼できる運送会社を選ぶ

あなたは過去の実績と体制を見て、安心して任せられる会社を選びます。例えば、時間指定の実績件数、事故率、ドライバーの教育内容、24時間の連絡体制、温度管理や精密機器の取り扱い経験などです。レビューや荷主の事例、貨物保険の加入有無も確認します。信頼できる会社は、無理な約束をせず、荷姿の直しや現場条件の改善提案までしてくれます。これは単に「感じがいい」からではなく、現場判断の質が直結して遅配や破損を防ぐからです。チャーター便は1回の失敗の影響が大きく、代替が利きません。だから、価格だけでなく「守れる約束」を出せる会社を選ぶことが、結果としてコストと時間の節約になります。

見積もりを比較する際のチェックポイント

あなたは最低でも2〜3社から見積もりを取り、条件を同じにそろえて比較します。金額の総額だけでなく、内訳や適用条件を見て差を判断します。具体的には次の点をチェックします。

  • 車種・台数・パワーゲートなどの指定が明記されているか
  • 待機料の発生条件(何分から、1時間いくら)が書かれているか
  • 深夜・早朝・高速代・有料道路・回送料(戻りの費用)の扱いが含まれているか
  • 積替えの有無(完全直行か)、ドライバーの荷下ろし補助範囲が明確か
  • キャンセル規定と天候・事故時の代替手配方針があるか

これらを確認する理由は、当日の追加請求や条件違いを防ぐためです。例えば、A社は安く見えても高速代別、B社は高く見えても全部込み、ということはよくあります。条件が揃っていれば、同じ土俵で公正に比べられ、納期と品質を守る最適な選択ができます。

チャーター便をうまく使うには、あなたが事前に情報をそろえ、信頼できる相手を選び、同じ条件で見積もりを比べることが近道です。小さなひと手間が、当日の「間に合った」と「間に合わなかった」を分けます。次は、あなたの現場でそのまま使える実践的なコツや失敗しないコストの抑え方を、より具体的に見ていけるようにしましょう。

チャーター便:よくある質問(FAQ)

チャーター便と宅配便はどう違うのですか?
宅配便は複数の荷主の荷物をまとめて運ぶ「混載便」方式で、途中の仕分けや積み替えがあります。チャーター便はトラックを1台まるごと貸し切るため、積み替えがなく、希望の時間・ルートで直行できるのが大きな違いです。
チャーター便は個人でも利用できますか?
はい、可能です。引越しやイベント出展、展示物の輸送など、個人でも「時間や荷扱いに制約がある」ケースでは利用されています。ただし法人契約が中心の業者も多いため、見積もり時に個人利用が可能かを確認すると安心です。
チャーター便の手配は何日前までにすればいいですか?
目安として、平常期なら1〜2日前、繁忙期(年末やセール期)は3〜5日前が安全です。特に夜間・早朝着や大型車両が必要な場合は、余裕を持って依頼するのが確実です。直前だと空車がなく、料金が高くなることもあります。
チャーター便では途中で別の場所に寄ってもらえますか?
可能です。ルートや立ち寄り先を指定できるのがチャーター便の特徴です。ただし、立ち寄り回数や距離が増えると拘束時間も延びるため、料金が変動することがあります。事前にルート全体を伝えて見積もりをとるのがポイントです。
チャーター便のドライバーさんに荷下ろしを手伝ってもらえますか?
現場条件や契約内容によります。基本は「運転・輸送」がメインですが、追加料金で荷下ろし補助や2人作業を依頼できるケースもあります。フォークリフトの有無や階段作業の有無などを事前に伝えるとスムーズです。
深夜や早朝にもチャーター便は使えますか?
はい、対応可能です。夜間や早朝に出荷・納品する案件は多くあります。ただしドライバー確保が難しくなる時間帯のため、割増料金が発生することが一般的です。到着希望時刻から逆算して計画的に依頼しましょう。
雨の日でもチャーター便は問題ありませんか?
問題ありません。ほとんどのトラックは幌やウイング車で雨風を防げる構造です。ただし屋外での積み降ろし時に濡れのリスクがあるため、雨天対策(ブルーシート・防水梱包など)を事前に相談しておくと安心です。
チャーター便をキャンセルした場合、キャンセル料はかかりますか?
はい。出発前のキャンセルでも、前日や当日になるとキャンセル料が発生することが多いです。料金は業者によって異なりますが、車両とドライバーを確保しているため、前日50%・当日100%などが一般的です。
チャーター便の支払い方法にはどんなものがありますか?
一般的には請求書払い(法人)や現金・振込(個人)が多いです。法人契約では締め支払いに対応する運送会社もありますが、初回利用時は前払いを求められることもあります。
保険は自動的に付いていますか?
多くの運送会社が貨物保険に加入していますが、補償範囲や上限は会社によって異なります。高額品や壊れやすい荷物を運ぶ場合は、事前に補償金額を確認し、必要に応じて追加保険を依頼しましょう。

まとめ:チャーター便の特徴を理解して、賢く活用しよう

チャーター便は「貸切で直行」だから、時間を読みやすく、積み替えがない分だけ破損や誤配の不安も小さくできます。一方で、混載より割高になりやすいからこそ、料金の決まり方や追加費用の仕組みを理解し、必要な条件だけを的確に伝えることがコスト最適化の近道です。料金は距離・拘束時間(ドライバーを確保する時間)・車種に、待機料(待ち時間)や養生などの付帯作業が加わります。繁忙期や緊急時は高額化や手配難が起きやすいため、代替案と基準額を先に決めておくと安心です。

入荷とは?物流現場の意味・流れ・トラブル対策・効率化まで徹底解説

実務で試すなら、次の3点から着手すると無理がありません。

  • 依頼票テンプレを作成:寸法・重量、住所、日時、現場条件、必要作業、待機料の取り決め欄まで明記
  • 2〜3社に同条件で見積り:車種・パワーゲート有無、保険、高速・深夜の扱いを比較
  • コスト調整を相談:積降時間を渋滞外に、復路活用や配送集約で無駄を削減

物流は単なる「荷物を運ぶ作業」ではなく、企業の信頼や顧客満足を支える重要な仕組みです。チャーター便をはじめ、輸配送・倉庫・構内作業までを包括的に最適化するには、現場を熟知し、仕組みづくりに強いパートナーの存在が欠かせません。

SBSリコーロジスティクスは、精密機器から医薬品・化粧品まで幅広い分野に対応する現場力と、お客様のビジネス特性に合わせた業務設計力を強みとしています。リコーグループの物流子会社として培ったノウハウをもとに、日本全国をカバーする輸配送・倉庫ネットワークや海外拠点を活用し、グローバルなサプライチェーンを支えています。さらに、TMSやWMSといった物流情報システムの導入支援、物流ロボットなど自動化機器を駆使したオペレーション設計にも積極的に取り組み、現場改善と生産性向上を両立しています。

また、SBSグループ全体で展開する物流インフラの共同利用により、新たな物流体制を短期間で構築できる柔軟性も大きな強みです。物流DXやSDGsへの対応にも力を入れており、チャーター便を含めた多様な輸配送ニーズに応えながら、次世代のロジスティクスの形を共に描いていきます。

変化の激しい市場環境の中で、物流の仕組みを信頼して任せられることは、企業の競争力を支える大きな力になります。SBSリコーロジスティクスは、現場力・設計力・ネットワーク力を軸に、お客様のビジネス成長を力強くサポートします。

SBSリコーロジスティクスの物流サービス

SBSリコーロジスティクスでは、BtoB配送に特化した高品質な物流サービスを提供しています。精密機器から通販物流まで、信頼と柔軟性を兼ね備えたトータル物流ソリューションをお探しの方は、ぜひこちらから詳細をご覧ください。

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